JR大阪環状線と南海線が交差する新今宮駅周辺がいま、大きな変化の波に乗りつつある。通天閣や新世界といった観光スポットへのアクセスがいい駅北側だけでなく、開発が進んでいなかった南側にも訪日客(インバウンド)が多く立ち寄り、賑わいを見せている。
駅の南側は、日雇い労働者がその日の職を求めて集まる「あいりん地区」という地域に面している。そこには旅館より部屋が狭いが格安で泊まれる簡易宿所が乱立し、労働者の街となっていた。しかし近年は料金の安さや、難波まで数分という好立地が人気を集めたため、インバウンドの利用が急増している。物件によっては2〜3ヶ月先まで予約でいっぱいだ。
南側である西成区は高齢化が進んでいるほか、生活保護受給者の比率が23.3%と極めて高い。大阪市は対策として平成25年度から「西成特区構想」を推進し、教育・子育て支援、環境改善や治安向上に取り組んでいる。また同市はインバウンド流入を機に、地域の観光振興を活性化させていくねらいだ。
西成区をよりよい街にしようとする動きの一方、住人にはインバウンドの流入による飲食店や簡易宿所の乱立を不安視する人も少なくない。市側は労働者のような多様な人々を受け入れてきたという地域の特色を残しつつ、受け入れを続けていく方針だ。
参照:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191208-00000519-san-bus_all