1月6日に京都市は、市内で新設されるすべての宿泊施設の客室にバリアフリー設計を義務付ける方針を発表した。今回対象となるのは「旅館業法の許可が必要となる施設すべて」であり、民泊や簡易宿所は含まれないという。
同様の基準強化は昨年9月に東京都が開始しており、ほかには大阪市も実施に向けて検討を進めている状態だ。しかしいずれも「延べ1千平方メートル以上」の宿泊施設が対象となっており、旅館業法下の宿泊施設すべてが対象となるのは全国初となる。
京都市では以前から市建築物バリアフリー促進条例が制定され、玄関の出入り口や廊下、大浴場など客室外や共用スペースのバリアフリー化が進められてきたが、新制度では全客室の内部も含まれる。
加えて、東山区や下京区などの宿泊施設が集中する地域については、新設する構想段階で周辺住民への説明を義務付けるという。現在でも建物の高さや床面積などに応じて営業許可や建築確認申請前の実施が必要だが、新制度ではさらに遡って設計前の構想段階での説明が義務付けられている。
京都市では観光客の急増、それに伴う宿泊施設の急増が市民の生活に悪影響を及ぼす「観光公害」が問題となっており、今回の措置にも「施設の質の向上」と「条件の悪い施設の抑制」の二つの狙いがあるという。制度設計は2020年中に行われ、条例改正などを踏まえて21年度中の実施を目指す予定だ。