住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行から1年が経過し、インバウンドの受け入れ体制は整いつつある…というわけでもない。インバウンドの需要が高い首都圏でも依然として民泊の利用は低水準であり、期待された東京オリンピック・パラリンピックでの宿泊施設不足の解消は見込めそうもないというのが現状だ。
観光庁によれば、現在東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県にある認可民泊は6438件。一方、新法施行直後の2018年6月15日から19年9月末までの民泊の延べ利用者は141万人で、ホテルや旅館の利用者数の1.5%にしかならない。このような現状を生んだのは、民泊新法の営業日数規制や自治体による追加の規制が原因と見られている。新規参入した企業も苦戦を強いられており、中には開業を延期する事業者も出る程になった。また地元住民からの大きな反発もある。
逆に自治体側はというと、民泊事業者に厳しい規制を課したことで違法民泊は確かに減った。しかし一度課した規制を緩和することに対しては住民から反対の声が寄せられ、思うように民泊事業を推進することができないのが現状だ。
滞在コストを低く抑えられ、インバウンドの長期滞在に最適だと期待されていた民泊。しかし住民からみれば「不特定多数の人が出入りする場所」であり、迷惑ととられてしまうのも事実だ。今後は違法民泊を排除しつつ民泊を定着させる取り組みが必要になる。
参照:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO46008000S9A610C1L83001?channel=DF220420167262&style=1