2020年4月17日
カテゴリー:法律・条例 タグ:
大阪市は特区民泊について、開業前に周辺住民に説明会を開くよう義務付ける方針を固めた。特区民泊事業者への住民説明の義務付けは全国初で、2月の市議会に条例改正案を提出し、4月の施行を目指すという。
大阪市ではかねてより、住民から特区民泊の開業に関して「説明不足」などの苦情が寄せられていた。実際、18年度に大阪市に寄せられた特区民泊に関する苦情361件のうち、55件が事前説明不足によるものというデータもある。今回の条例改正はこうした民泊への不安を解消し、インバウンドの受け入れ拡大が可能な環境を整えるねらいだ。
特区民泊は国の指定した地域に限り、自治体が定めた条例に基づいて事業者が民泊を営業できる制度だ。これまで民泊新法では周辺住民への事前説明は義務付けられていなかったが、国の政令では事業者の認定要件を「周辺住民への適切な説明」としている。また大阪市では条例ガイドラインである「要綱」に、戸別訪問やポストへの資料投函による事前説明も認めると記載されている。
大阪市は日本全国に存在する特区民泊(届出数)のうち、9割以上にあたる1万1024室が集中する「特区民泊大国」でもある。したがって相対的に住民からの苦情も多い。20年にはオリンピック、25年には大阪万博を控え、インバウンドの増加も予想されている。
大阪市が住民の不安を払拭できるかが、今後のインバウンド市場の大きなターニングポイントとなりそうだ。
参照:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54636100R20C20A1AM1000/